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執筆者の写真チケ

レゴの戦車の話

更新日:2018年12月17日

こんにちは。チケです。皆さんは親のいいつけを守れるタイプですか?僕は守れたためしがないです。ご存知の通りミリ系ビルダーは、今日も背徳的な兵器を作ってレゴ社の崇高な理念と期待を裏切り続けています。人にはダメって言うくせに自分は版権セットとかでドンパチ盛大にやってるあたり、何だか親と似てますよね。

せんしゃ

レゴミリタリの華、といえばやはり戦車です。ミリのビルダーは誰もが一度は作ってみたかと思います。 レゴの戦車にはジャンルが複数存在します。一番の分類は大戦ものか現代ものか、というポイントです。これは外見、モチーフ的分類であって特に重要ではありません。僕が重要視しているポイントはフィグが乗れるのか、内装があるのか、再現作品なのか、という点です。 今回触れていくレゴMBTは、現代/フィグ/内装/オリジナル の要素を含みます。以降、MBTと書く時はこのことだと思ってください。


MBTはレゴミリの中でも特に技術革新が目覚ましいジャンルです。日本におけるMBT技術は、外国ビルダーとは一線を画しているところがあり、かなり独特かつガラパゴス的なものになっていると僕は考えています。海外はやはり再現系が強いですね。カスタムパーツの流行もあってハイクオリティかつ技巧的な作品が多いイメージです。ブリクズもそう。


一方でオリジナルかつフィグ乗りの戦車作品は少ないんですよね。存在しないことはないんですが、日本ほどコミュニティ化されてジャンル確立まではされてないんじゃないでしょうか。これは僕の主観なのでデータとして裏付けはありません。


仮に日本におけるレゴMBT技術を「文化」と呼称するなら、その始まりは旧国連時代からでしょう。MBTにとって絶対に欠かすことのできない技術、並列複座砲塔配置とパネル反転をはじめとする6幅バスケット技術、シーソー式サスペンションといった今では当たり前となりつつある技術はこの時期に開発、改良、発展してきました。

並列複座砲塔とパネル反転によるバスケット技術の一例

サスペンションの一例 

僕がMBTをはじめに作った時には既にこの三つの技術は幅広く活用されていました。この黎明期を大きくひっぱったのがポポさん、メリニコフ(イリヤ)くん、RYOLさん、スコウさんです。他にも素晴らしいビルダーたちが各自技術を革新していったのですが、僕はこの4人をMBT発展のキーパーソンとして扱いたいと思います。

ポポ氏のウォークーガーMk.2 MBTの内装

当時、MBTの車幅は8幅が基本でした。内装を考えると一番広く使えたこと、3幅履帯とのバランス相性に優れていたところが評価されてのことでした。そこにポポさんが強烈なブレイクスルーとなる戦車を発表します。伝説のウォークーガーMK.2主力戦車ですね。363車体に詰め込まれた3人の乗員、メルカバを意識したパワーパック配置、サイドスカート、実弾搭載、コンパクトで無駄のないボディ。

いやこれはホントすごかったです。2014年末にこの作品を迎え、2015年、2016年と怒涛のMBTラッシュがミリ界を駆け抜けていきました。

他方でもスコウさんが作られたゲリュオンMBTが幅広くライセンスされたこともあって、6幅車体の一般化が行われました。

スコウさんの戦車パッケージがLDD(LegoDegitalDesigner)データを通じて広く共有され、並列複座砲塔やサスペンション、横タイルバスケットといった基礎技術が一般化に大きく貢献する一方で、ポポさんがどんどん革新を進めて、これにイリヤくんやRYOLさんが追従して研究したのが当時の状況だったかと思います。

ゲリュオンをベースにれどふぉ氏が2015年に開発したT-65戦車は簡素でかわいい砲塔が大人気となり、様々なバリエーション展開をはじめクソ幼女の手で戦車以外にも転用されました。僕も愛用しています。

人気が過ぎてか、2018年に発売されたレゴ75202でパクられたとウワサされています。

おまえT-65だろ

まぁ組み方が異なるので違うのですが。


追記:まほんさんが作成したT-65系譜図

こういう系譜図が生まれるのも日本のMBT文化の面白いところですね。

僕は通尊系とペタン系がすきです。



ここからMBT技術はまた大きく加速します。黄金期ともいえるこの時代では、黎明期に人気となったRWSの搭載、砲弾積み込み技術や操縦席、砲手席の充実化、パワーパック文化のさらなる拡大、砲塔構造の複雑化があげられます。僕は戦車に湯沸かし器と紅茶、チェスを内装化することを提案していました。真剣に。

この頃に改良、開発された技術は現在のモノとほぼ同じで、いわば達する所まで達したといえるでしょう。大量入手が困難だった1幅履帯が安く手に入るようになり、262という新しいバランスがポポさんから発表されます。ウォーハウンドですね。

1幅履帯ビジネスで成功した男のイメージ画像

1幅履帯を並べて2幅とするこのビルドは、通常の2倍の履帯を消費するためすぐには広まりませんでしたが、1幅履帯を海外から大量輸入したビルダーが現れ安価でバラ撒くなど2幅が受け入れられるのも時間の問題でした。

この駆動部を車体にねじ込む

また砲塔技術の向上が車内スペースを作り、内装技術が向上します。数年前までは信じられなかったような内装がどんどん発表されていき、MBT界隈はアツく盛り上がっていました。ここまでが2018年現在までの簡単な「MBT文化」の解説です。僕一人が調べるにはあまりにも膨大な、とても濃い話です。拾い切れていない部分や当時とは異なる解釈、あると思います。いずれまた、各人の素晴らしい作品群についても紹介していきたいと思います。




三種の神器ともいえる3つの技術を布教、一般化した黎明期。それを改良し、共通の技術ベースから各自の個性を発展させていった黄金期。これが現在に至るまでのMBT技術の概略史になります。


外国でも同様の技術が開発され、クールなMBTを作った結果は日本と変わりません。研究を進めればいずれ正解ともいえる終着点に辿り着くことに変わりはありませんが、日本のようにMBTジャンルがアツく盛り上がり、SNSを通じて互いを学びあった道筋、アプローチとは大きく異なるものだと思います。

今となっては当たり前のことだけれども、僕はMBT技術を終着点に辿りつかせたあの頃のミリビルダーに敬意を払いたいと思います。

JBF2017での現代AFVの展示卓

もちろん、MBT技術が終着点に達したからと言って、これ以上の進歩が無いわけではありません。基礎としてのMBT技術が完全に一般化し、メジャーな表現技法も広まった状態が終着点だとすれば、こんどはここが新たな出発点となるでしょう。

実際、毎年新しいパーツが開発されることでMBT技術にも変化が見られます。1*2のウェッジとか結構アツかったんじゃないでしょうか。各種タイルが表現技法を増やしてくれてます。結構前になりますが、貫通ポチもMBT技術をさらにアップグレードしてくれましたね。


今はあのころほどMBTの話題もなく、交流も乏しいのが現状です。それぞれの環境の変化もあるため強く「再燃してくれ」とは言えないですが、何かをキッカケに研究交流が行われればと思っています。

これからのMBTの進化予想

それではまた。次回は自作のレゴMBTについて紹介したいと思っています。


引用した画像

ポッケ(ポポ)@popolego

Punikov @mandesgoip

まほん @49Mahon

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