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執筆者の写真チケ

レゴ 1/300ベルファスト

こんにちは!前回の記事から1年ぐらい何も書いてなかったらしいです。ヤバ

Twitterで足りねえな、と思ったときに使う心意気なので、今回はベルファストについて4000文字ぐらい書いておこうと思います。


目次

・言い訳

・船体

・砲塔

・艤装

・写真

・感想

Flags flying to mark the anniversary of the launch of HMS Belfast, 1988


◇言い訳

最初に、めちゃくちゃ気になったであろうポイントに答えておこうと思います。

「ダズル迷彩は?」

はい。


はい。あの塗装を再現するには単純に資金が足りませんでした。


 オタク早口言葉で言い訳しておくと、"Admiralty Disruptive" Type25迷彩は1999年にベルファストがドッグ入りした際に再塗装されたものであり、戦後-退役-博物館といったベルファストの半生においては、先の画像のようなシンプルな灰色塗装が大きな割合を占めていました。Type25迷彩は戦時中の迷彩であり、近代化改修を受けた戦後ベルファストとは本来相容れないものだったりするのです。


レゴでそこまで再現しててオタクポインツが高い!!な!


◇船体

 レゴビルドにおける一つの難題、それはポッチの処理です。ポッチをタイルで隠せばより精巧に、リアルになります。ですが実艦の突起がポッチ未満だからといって、全面タイル張りというのも面白くないでしょう。あえてポッチを出すというのも、ちゃんとしたビルテクだと僕は考えています。嘘です。艦首や艦尾にどうしてもポッチが出ちゃうので、目立たないようそれっぽく船体にポッチを張りました。ごめんなさい。

ツルツルだが、ツルツルではない

 昔話になりますが、Twitterにおけるレゴ艦船界隈の黎明期は、側面プレート張り、ブロック積層が主流の環境でした。日本にもPaBが導入され、大量の新灰2*2タイルを手に入れたビルダーが増えると、横組み船体のポッチ隠しがトレンドになります。Shintaroさんやレゴンさんの巨大艦船には、欠かせなかったパーツです。まぁ、これは「PaB味」と言う言葉を生んでしまいましたが、それを差し引いても衝撃的な出来事でした。この辺の技術史はレゴンさんが詳しいと思うのですが、マツダさんのリシュリュー以降、1/300艦船の船体はどんどん進化していきました。自分は1/300を作らずとも、その経緯を体験しています。


(あの頃は新灰2*2タイルを何カップ持ってるかで長者番付を行っていたんです。知っていましたか?)


 今回のベルファストでは、黎明期のポッチに思いをはせる──という建前で、艦首のポッチを誤魔化しつつ、古典的な横組み船体にアレンジを加え、喫水線に黒帯を引きました。

喫水線といえば赤帯ないし艦底部の色が見えるパートですが、ここで差別化をしておきたいのは海外艦の共通の悩みだと思います。IJNがよぉ

見えねえとこなら何したって良いんだよ── Punikov

 黒タイルを用いて裏面処理をした結果、船体が引き締まって見え、またフルハルモデルへの転換を容易にすることが出来ました。シアーが緩い船だから出来る事ですね。








◇砲塔

1/300艦船勢の皆さん、こんにちは。

皆さんは日本海軍の巡洋艦、大好きですよね。僕も好きです。

じゃあ最上を15.5cm、20.3cmのどっちで作りますか?

 6インチ級の三連装砲は悲しい奴です。それを搭載しているというだけでハードルが上がり、やっぱ8インチ級連装砲で...となるのがオチ。巡洋艦は砲塔サイズの制約が厳しいスケール。駆逐艦の主砲ほど簡略化するわけにはいかず、かといって戦艦ほど自由に作り込めるわけじゃない。


 艦船界隈で日巡が大流行した結果、20.3cm連装砲の作例は山のように生まれましたが、三連装砲というのはいつだってオマケ、大和の副砲で仕方なく作られるような存在なんです。

砲塔設計で2年

めちゃくちゃに言いましたが、三連装砲自体を作ることはそんなに難しくないと思います。問題なのは、製作者がその出来に納得できるかどうか、です。


 ベルファストの主砲は6インチ三連装砲、英巡特有の中央の砲身が奥まった配置のユニークな主砲です。ミリ秒単位での斉射遅延ができなかった英国は、砲身自体をずらすことで発射ガスの同時干渉を防ぐことに成功しました。そしてこの特徴が、何度も設計を頓挫させた原因となったのです。

ポポンのポン!w

 最初にベルファストを設計したとき、砲塔で手詰まりになりました。砲身配置もさることながら、コンパクトに収める事が難しかったのです。全てが嫌になり、この世に存在する6インチ級三連装砲の全てを恨み、リアンダーに泣きつきました。

リアンダーは同じ6インチ級でも連装砲なので...。


 ところがある日、LDDでパーツを弄ってると、角落ちカブスロの隙間がクリップ部と重なることが分かりました。更に、新規パーツを盛り込めば、3*4の砲塔基部が、軸ずれを起こすものの可能であると分かり、一気に設計が加速しました。

チューブを用いて砲身を切り詰めると更にコンパクトに抑えることが出来、何とか納得のいく形に落ち着いたのです。

軸がずれているので旋回すると何か大変な事になる 内緒だぞ

 真似してもらったら分かると思うんですけど、実は角落ちカブスロ、盛大に干渉しています。コリジョンです。LDDでは出来るんだけどな~?(パーツに圧迫面接する)

適当にパーツをしばいて、歪みを吸収させて楽しい三連装砲ライフを送ってください。





◇艤装

建艦におけるフィーバータイム!

彩度が「無」だった灰色の船体に彩りを与える、楽しい艤装パートです。

これが...色...

イギリス海軍のボートは何故かオシャレなのが多いです。クルーズ気分かよ

艦船には欠かせない部分なので、いろいろ考えて積んでみました。

5種類もボート置いてんじゃねえ

◇年代について

 甲板上の構造物を作るに際して、WoWS内のBelfast、その3Dモデルを参考にしました。おそらく甲板からカタパルトが撤去され、艦橋が近代化改修された1955年以降のモデルなので、おおむねこれで正しいと思います。


 ベルファストを作る上で大きな問題となったのが、モデルをどの年代に設定するか、ということです。僕自身はWoWSで親しんだエディンバラに愛着があり、艦尾のボフォースやカタパルトを盛り込みたい気持ちがありました。

変なとこにカタパルトがある 格納庫は艦橋の中

 しかしテムズ川に浮かぶのは近代化改修を受けた艦橋のベルファスト。戦時中に没したエディンバラと、戦後も任を果たしたベルファストとでは、同型艦でも艤装が大きく様変わりしているのです。

1950 in japan

 

ベルファストはシャルンホルスト追撃戦でその名をあげましたが、戦後は呉に寄港し、国共内戦では香港に赴き、朝鮮戦争では佐世保を拠点に艦砲射撃に参加しています。




 この間に、伝統的なポンポン砲は40mmボフォース6基に統合され、ウォーラス水上機とカタパルトも撤去されました。近代改修で艦橋は一新され、マストや対空レーダーが更新され、代わりに魚雷発射管も撤去されました。後甲板をヘリコプター甲板に改装する案もありましたが、ベルファストはいくつもの演習と遠洋航海を終えて1963年に退役しました。

 1963年の退役時と、その後博物館となり、現在テムズ川に展示されているベルファストはさほど変わりません。ロンドンのヴィネットを作って展示したい欲もあり、今回は1960年台の最終艤装をモデルにすることにしたのです。


甲板に戻りましょう。

持ってるかな?(マウンティング)

オレンジ色の救命艇はマースクタンカーに2個入っているパーツです。社外品でなく。


細身でシンプルな煙突は5方向ポチを、マストは3本のバーとフィグハンドで構成しています。新灰のフィグハンドが全然なかった...。

 艦橋の左右にはピザタイルを用いて航行灯を再現。ボフォースが元気に空向いてますね。タレポチとコーヒーフィルターを使った対空砲は、最近よく見る作例の一つです。春には設計してたんですけどね!ね!


 メインマストは少々ややこしい作りになっています。本来の支柱は4本ですが、上に伸ばすために中に1本入れてあります。フィグハンドでトラス構造を再現したのは後部マストと同じですが、レーダーをねじこむ都合上面倒なことになっています。

マストの色分けですが、どうやらマストの高さに応じてラインが引かれているようで、英巡のマストは一定の高さで黒に塗装されているようです。というわけで黒を挟みました。


甲板に置いてもらえなかった悲しいスーパーマリン・ウォーラスを紹介します。

最高速力215 km/hを誇る水上機であり、複葉と機体上部にポン付けされたエンジンが特徴です。あと折れ方がキモい。

なにもかも無理やりすぎる 正気か?




この船、実は無駄に分割できるんです!

なんでそこ?て場所で分割できる すごい

運搬のことは全く考えず、適当に分割できるようにしました。というより、奇数幅偶数幅が面倒なので応じて分割してる感じです。最初はクリップ接続で行こうと思いつつも、スペースが無く艦中央以降は左右にタイルを差し込んで保持し、別のタイルで両側を固定する方式で分割できるように。

艦橋は取れるけど艦中央は取れないので意味がない。何なんだ。





◇写真

そうだ、背景ちゃんとしよう。

最初に撮った写真 元気にウォーラスが飛ばされている

最近バズり倒したギター職人、もりりん書房さんにアドバイスを受け、Type25迷彩チックな背景を画用紙を重ねて作ってみました。なんかいい感じ。

ウォーラスが自力で飛んでいる雄姿

レタッチまでしてもらいました。なんかいい感じ(強)になりましたね。

もりりん書房さん、ありがとうございました。


こっちは僕が作ったそれっぽい諸元画像です。

もうなんかそれっぽすぎて、かっこいいですね。

データに一つ誤りがあるぞ!探してみてね

それもそのはず、この元画像、米海軍情報局による英軍艦艇識別・特性解説本(ONI 201 Warships of the British Commonwealth .1944)からなのです。

ONI 201 Warships of the British Commonwealth
amazonでペーパーブック版が買えます

引っ張ってきたのはこれ。出版が1944年なので、まだ改装されていないベルファスト。

ついでにエディンバラが既に沈んだことも書かれています。1 unitが切ない。

レゴを左右反転させて彩度を下げ、背景を引き延ばし、透過した素材を重ねてそれっぽくやり、文字を適当に入れて作りました。

よれた紙の感じが中々難しかった

後から気付いたのですが、せっかくなら左下の画像もこっちの改修後のベルファストに差し替えれば良かったな~と。でも砲塔が黒塗なのクソかっこいいからな。やっぱな。




◇感想

 久しぶりの完全再現とあって、図面や3Dデータとの睨めっこが中々終わりませんでした。幸い、設計自体は冬に済ませていたので、船体に苦労はしませんでしたが...。藤田杯に間に合わせるつもりはなかったのですが、期間が延長されたとのことで間に合わせました。カンブリには色々とお世話になって...。2*2の2ポッチプレートが今回のMVPです。


 何年も前からJBFで会うたびに、隼さんに「作るなら英巡、ベルファストかなー」と告げていましたが、本当に実現できて良かったです。ダズル迷彩も挑戦して、ロンドン橋と時計塔も作って、あのテムズ川の景観を再現できたらな、というのが今のところの目標です。

 実は乗ったことないんですけどね。横を船で通りはしたんですけども。


大変な時期ですが、いつか展示会などでこれを披露出来る日を楽しみにしています。




最後に、今回使用した画像の引用元や参照したサイトなどを紹介しておきます。


HMS Belfast (WoWS) 3Dモデル 閲覧サイト 

帝国戦争博物館HP Visit HMS Belfast

HMS Gambia (ONI201)

ベルファストの史実解説動画(字幕)



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